最近巷では、ウインカーランプやブレーキランプが標準でLEDになっている車を多く見かける。点灯・消灯のキレがよく、視認性も高いためいいなと思っていた。
しかし、市販のLEDランプは結構高価な割に暗い。2,000~3,000円程度のランプでは、確実に後ろからカマ掘られるくらい暗く危険だ。
AliexpressのLEDランプは安くて明るくて良いのだが、電流制限はもちろん抵抗器で数か月でハンダがもげたり、ソケットが焦げ始めたりする。しかし電流制御用にDC-DCコンバータを内蔵しているものは暗かったり高価だったり・・・なかなか思うものが手に入らない。
こうなると、Aliの安いLEDに自分でDC-DC入れて、高輝度で高安定、長寿命のLEDランプに仕立ててしまおう。
LEDライトの入手
Ali(Aliexpress)でいろいろなウインカー用LEDライトを買ってみたところ、輝度が満足できるものは以下のものだった。
購入から3か月程度で足がもげてしまったLEDランプ・・・
特に赤色などLEDのVfが低いものは電流制限抵抗器の発熱が大きく、ハンダが脆くなって足がすぐもげる。
分解
白い樹脂部分をプライヤで軽く締めると、内部の固定している接着剤がパキパキと簡単に外れる。1周やると白樹脂とアルミヒートシンク部分が分離する。
分離したら、元からついている端子のリード線を伸ばし、白樹脂を引っ張ると取り外すことができる。
接着剤部分はラジペンなどでつまみ割って取っておく。
DC-DC改造
DC-DC(LEDドライバ基板)入手
DC-DCも、Aliで格安販売しているLEDドライバ基板を用いた。秋月電子通商で販売しているLEDドライバ基板と回路・部品が同じなので流用可能。
DC-DC基板改造
不要物除去&シャント抵抗打ち換え
まず、基板についている配線と電解コンデンサ、シャント抵抗器(チップ1210の300mΩ)を取り外し、付着しているハンダとフラックスを清掃しておく。
写真はすでに交換のシャント抵抗器1Ω×2を実装済みになっている。抵抗値500mΩ(1Ω×2並列)で、LEDに流れる電流は200mAとなる。黄色・赤色ともLEDは3直5並にで、おそらくLEDの外形から定格50mA程度と想定される。余裕を見て40mA流れるように設計した。
この時、LEDと周辺基板、ヒートシンク(基板にサンドイッチされたところ)の温度は50℃程度で飽和したので、まぁこんなもんだろう。
基板カット&平滑コンデンサ取り付け
基板の寸法はそのままだと円柱形のアルミヒートシンクに入らないため、不要個所をニッパでカットし除去した。
なくなった電解コンデンサは、取り付けスペースが確保できなかったため、定格25V47uFの2012積層セラミックコンデンサ2個を並列にし、全波整流ダイオードの出力側にハンダ付けした。電解コンデンサに比較し容量は約50%だが、LEDに流れる電流も減っていることと、DC入力(そもそもこのLEDドライバ基板はAC12V入力想定)であることから、平滑コンデンサの容量が減っても問題ないと判断した。
配線接続
シャント抵抗器の写真下側につながるパターンのレジストを剥がし、配線接続箇所を設ける。ここにLEDへ接続する配線をハンダ付けする。ここで使用する配線は、先に取り外した配線を再利用した。
LEDのアノードはシャント抵抗下側から延びるパターンに繋ぐためピンクの配線を選択し、LEDのカソードはインダクタのダイオードと逆側に繋ぐため白の配線を選択した。
絶縁対策
DC-DC基板は円柱型アルミヒートシンクの中に入るため、絶縁としてポリイミドテープを3周ほど巻いておいた。
LED部の改造
ピンク、白の配線を接続するため、もともと繋がっていた抵抗器とダイオードを取り外し、ハンダとフラックスを清掃した
LED部基板の手直し
ついでに、基板がアルミヒートシンクに密着していなかったため、手直しして密着度を上げ、ついでに放熱用シリコーングリスを塗布した。
LED部基板とDC-DC基板の配線接続
以上の改造と手直しを加えたものを接続する。LEDのアノード、カソードの極性を間違えないように配線を接続する。
基板の固定
もともとLED部基板と円柱型アルミヒートシンクを固定しているネジを戻す。
この時、アルミヒートシンクでLEDのアノード・カソードが短絡されそうであったため、念のためアルミヒートシンクとLED部基板の接触箇所にもポリイミドテープを貼っておいた。
LEDランプ接続リード線
0.6mmスズメッキ線を準備し、DC-DC基板のAC入力側に50mmほどハンダ付けし、リードをフォーミングして白樹脂のソケットに入るように加工する。
全てのパーツ接続&接着
改造も最後の工程となり、分解したものを全て接続する。
円柱型アルミヒートシンクと白樹脂の接着は、耐熱性を考慮しシリコン系の接着剤を使用した。白樹脂から突き出たスズメッキ線をフォーミングし、改造は完了となる。
点灯確認
安定化電源に接続し、10V~16V程度まで可変し、どの電圧でもほぼ明るさが変化しないことを確認する。
併せて、その電圧でも供給される電力がほぼ一定となっていることを確認しておく。(低電圧-電流大、高電圧-電流小)
余談だが、黄色LEDはどうも青系のLEDに蛍光体を塗って黄色になるようにしているようで、11V程度印加しないと輝度が安定しないかもしれない。赤色はLEDのVfが低いため、9V程度からでも輝度は安定する。
本改造だと、入力13.5Vで0.13A程度流れたため、1.8W程度となった。実際LEDの消費電力は1.5W程度だろう。
クルマへの取り付け
LEDランプが完成すると、すぐに取りつけたくなるが、一つ準備することがある。それは、ハイフラ(ハイフラッシャー )防止の対策だ。
LED化すると、上記の通り消費電力がハロゲンランプの1/10程度となっている。ということは、流れる電流もおよそ1/10となっている。電流が規定よりも少なくなっているため、車のユニットはハロゲンランプのフィラメント切れ(球切れ)が発生していると判断し、ハイフラさせる。
これを防止するのは主に2つの方法があり、
- LEDランプと並列にブリーダ抵抗器を接続し、疑似的に流れる電流を増やす
- ウインカーリレーをハイフラ防止リレーに交換する
しかし、2.の方法は比較的古い車が対象で、最近の車はリレーでウインカーランプを制御せず、コントロールユニット内部の半導体スイッチ(Pch MOSFET)でランプのON・OFFをコントロールしている。
よって1.のブリーダ抵抗器方法が実質的な方策となる。
ブリーダ抵抗器を使う方法には注意点があり、ブリーダ抵抗器が結構発熱するということだ。選択する抵抗値にもよるが、10Ωでバッテリー電圧が満充電時13.8Vだとすると19W超にもなる。
点滅なので、デューティー比50%だとしても平均9W超の電力損失であり、抵抗器表面温度は80℃を超える高温になる。
よって、ブリーダ抵抗器はプラスチックの筐体に固定してはならないということだ。
車体の金属部か、どうしてもプラスチック部に固定したいならば間に金属ステーを噛まして熱が直接伝わらないような工夫が必要だ。
蛇足だが、ブリーダ抵抗器が必要なことより、ウインカーランプはLED化しても省電力にはならないということだ・・・
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