UPS用鉛バッテリ充電電圧抑制&電圧バランサ

安く買ってきた起動しないAPCのUPSに、安く売っているLONGの鉛バッテリを入れて運用しているが、2年程度でバッテリがヘタってしまい頻繁な交換が必要になる。どうも、充電電圧が14.4V程度と高く設定されているようで、希硫酸がドライアップしてしまうようだ。充電電圧を下げるため、大電流シャントレギュレータをバッテリと並列に接続し、寿命を延ばそうと考えた。

目次

機器構成

バッテリの両端電圧をモニタし、一定電圧を超えたらシャントレギュレータ側で充電電流を消費する構造にする。レギュレータにはそれなり電流が流れ電力損失が発生するが、放熱器で放熱して過充電となる電力を熱にして放出する。エコではないが、充電満了電圧を変更するのも大変そうだったので、簡易的にこの方法とした。

また、APCの500VA出力UPSには、12V鉛バッテリが2本直列に接続されている。この構造では、バッテリの若干の容量差によって電圧がアンバランスになることと、そもそも過充電気味の電圧となる。それぞれのバッテリにシャントレギュレータを付け、それぞれのバッテリが設定電圧を超えないように機能している。

電子回路

それぞれの12V鉛バッテリにシャントレギュレータを取り付けている。
MOSFETとOPアンプで回路は構成されており、12Vバッテリを電源として動いている。

基板上面

基板裏面

回路の調整

レギュレータには、何V以上を過電圧として分流を始めるかを設定する可変抵抗器がある。
本回路では13.8Vになるように調整する。

なぜ13.8Vを満充電電圧に設定するのか

鉛バッテリでは、サイクルユース(充放電を頻繁に繰り返す)とスタンバイユース(通常は満充電状態で待機し、有事の時に放電する)の使用方法が規定されている。UPSはスタンバイユースとなる。

Long社データシートより

この表より、スタンバイユースの充電完了電圧は最大で13.8Vである。よって、過電圧判定は13.8Vとしておけばよい。
ちなみにこの電圧を下げるほど、寿命は長くなる傾向だがUPSのバックアップ時間も短くなる。

ちなみにUPSに備えられているバッテリ充電回路は、定電圧・定電流充電回路である。

Long社データシートより

上図は鉛バッテリの充電電圧・電流と充電容量を示したグラフである。バッテリ電圧が低いときは規定の最大充電電流(この図では約0.1A)を超えないよう定電流で制限する。
セル電圧が規定電圧(この図では約2.30V、6セルでは13.8V)に到達したらこれ以上セル電圧が上がらないよう定電圧制御に切り替える。
そのまま、充電し続けると充電電流が低下していき、自己放電電流でバランスする。
APCのUPSは、まず定電圧に移行する電圧が14.4Vと高めに設定されているようだ。
本器では、強制的に13.8Vを超えるとMOSFETに分流させ、それ以上電圧が上昇しないようにコントロールする。

効果

効果を保証することはしないが、だいたい2年程度で交換していた鉛バッテリは、本器を使うことで4~5年交換周期になった。

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